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  3. 薬剤師としての働き方 開発担当として治験に携わる その二

薬剤師としての働き方 開発担当として治験に携わる その二

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薬剤師の働き方

現在の日本では、新薬の審査において、薬学の出身者がその中心になって業務を担っています。
ですから、薬剤師が新薬の将来を握っているといっても言い過ぎではないのではないかと思います。
新薬の審査チームの7、8割が薬学系の出身と言われており、また、部長やチーム長といった役職についている方が薬学出身者であるということなのです。
実際に審査にあたる方というのは、新卒者もいるものの、医療機関や教育・研究機関、製薬会社で経験を積んできた方というのも多いのです。
薬学生として培ってきた知識をベースにして、その後臨床において、医療現場において、患者さんとの関わりにおいてなのですが。
研究において、医薬品開発業務において、様々な場面で培ってきた経験を踏まえて、医薬品の開発においてより実態に即した審査を目指しているのです。
また、審査業務に関しては、単に承認審査を担当するだけにとどまらず、開発段階での助言を行うということもその業務の一つであります。
また、承認した後にも安全対策等として医薬品のライフサイクルを通してよりよい医薬品を患者に届けるという業務にあたっているのです。
製薬会社との間では、どのようなコンセプトでそのような医薬品を開発するのに至ったのか、という医薬品の開発に関わる背景や理念についても理解する必要があります。
これは薬剤師のみならず、人間としての倫理観や社会性を反映しているものですので、最も重要な部分であるともいえるのではないでしょうか。
そして、そのコンセプトを実現させるために、実際にはどのようなデータをとったらいいのかについても議論する必要があります。

治験者のデータ

治験者の負担を最小限におさえ、確実にデータをとらなければなりません。
また、製薬会社の実施しようとしている開発方法においても、その医薬品の候補となる物質が持っている力を最大限に引き出している。
などという事に注目して検証したり、副作用についての危険性についても再考したり。
安全性を第一に、より早く患者さんのもとに新しい薬が届けられるように努力しなければなりません。
この審査を担当する薬剤師の方というのは実際に自分たちが新薬を開発する作業を行っているというわけではないのです。
ですが、新薬の開発に多大なる貢献をしている職種といってもいいかと思います。
治験者の安全性を確保できるのも、審査における必要条件を整えることも、全てこの担当者にかかっているのです。
具体的に申請が始まると、その資料は一つの医薬品でダンボール数十個から数百個にまで及びます。
この膨大かつ捻密な作業によって作られた段ボール何百個という資料から新たな薬の歴史がスタートするのです。
なお、承認された薬もそれで終わりではないのです。
治験においては、症例数や併用薬など、条件に制限があるために、販売後についても常に目を光らせておくということが大切になります。
新薬の販売後にわかるという事実も少なくないのです。
薬の適正使用のために関連部署に情報提供を行い、適切に対応していくことで、より安全性の確保された医療体制を築くことができるのです。