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薬剤師求人状況について

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薬剤師求人状況

薬剤師の転職については「売り手市場」というイメージが強くあります。

薬剤師専門の転職サイトなどを見てみると、
一般企業の転職求人とは比べ物にならないほどの求人情報が公開されているのが分かります。
しかし、これまで好調だった薬剤師の転職求人について、
少し陰りが見え出したのではないかと指摘する専門化も増えてきているのです。

これまで薬剤師の活発な求人状況を牽引してきたのは「慢性的な薬剤師不足」でした。
まず、薬剤師は薬学部・薬科大学に通って薬剤師国家試験に合格することが前提になりますが、
特に私立の薬学部・薬科大学は授業料が非常に高額であり、
通うためにはある程度の経済力を持った家庭でないと難しいという一面があります。

そのため、難易度の比較的高い国公立の薬学部・薬科大学へ進学できなかった学生が
薬剤師を諦めて他の進路を選択してしまうということがありました。

それに加え、2006年に行われた制度改正により
これまで4年制であった薬学部・薬科大学のカリキュラムが6年制になったことも
薬剤師の不足に拍車をかけることになりました。

制度改正

この制度改正により一時的ではありますが2年間の空白期間が発生することになり、
あたらしく薬剤師になる人が激減したのです。
これによって薬剤師求人の売り手市場はさらに加速することになりました。
また、近年は薬剤師の働く職場が増えて求人が増えたことも薬剤師の不足を招くことになりました。
従来の薬剤師の職場というと医療機関や調剤薬局、製薬会社の研究職などが主でしたが、
そこにドラッグストアという選択肢も登場したのです。

この背景にはOTC医薬品の登場があります。

日本は高齢者が多いということもあって医療費の増大が大きな社会問題となってきています。

不況の影響もあって税収が減り続ける一方で医療費が増え続ける状況では
国家の財政が立ちいかなくなるのは目に見えていますね。
そこで、医療費削減の方策ということでセルフメディケーションという立場から
医療用医薬品を一般の薬局やドラッグストアなどで購入できるようにしました。

こういった医薬品をOTC医薬品と言います。

OTC医薬品はこれまでの一般用医薬品と比べると治療効果が高いのが特徴ですが、
その一方で副作用の危険性も若干高くなるということがあります。

そこで、OTC医薬品として販売されている第1類・第2類・第3類医薬品を購入するときには、
原則として薬剤師による取り扱いが義務化されました。

これによってドラッグストアで働く薬剤師が大量に必要となったため、薬剤師の求人が増えたのです。
こういった様々な理由から薬剤師の求人は増え続けていましたが、これからはどうなるでしょうか。

まず、薬剤師不足の原因となった6年制への制度改正は今ではまったく問題なくなって、
毎年卒業生を送り出せるようになっています。
また、OTC医薬品の問題についてですが、
これも2009年に施行された登録販売者制度によってかなりかなり緩和されてきています。

登録販売者とは医薬品を販売することのできる資格で、
までは専門の人にしか認められていなかった医薬品の販売を変わりに販売することができるようになりました。

第1類医薬品に関しては現在でも薬剤師にしか販売することはできませんが、
それ以外の一般医薬品については登録販売者でも可能なため、
ドラッグストアでは薬剤師よりも人件費の安い登録販売者を積極的に雇用するようになり、
その結果として薬剤師の求人は減ることになりました。

このように、全体的には求人が減ってきている薬剤師業界ですが、
より専門的な知識や高度なスキルを持つ人の求人は相変わらず活発です。

ですから、自分の頑張り次第では転職によってキャリアアップをすることも十分に可能となっています。