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これからの薬剤師について 緩和医療を考える

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死亡者数

がんによる死亡者数は現在の日本において1位にあげられます。
それとともに、日本における緩和ケアについてもその重要性がますます高まって
いるといっても過言ではありません。

近年では、がん治療と平行して、治療の早い段階から心理的な部分や痛みなどを和らげる
緩和ケアが行われるようになり、医療として位置づけられるようになりました。
このような社会情勢、医療業界の動きの中で薬剤師として一体どのようなことを
していったらいいのか、薬剤師として何ができるのかということを考えなければいけません。

現在はホスピス、緩和ケア病棟、一般病棟、在宅のそれぞれが連携して患者さんに
治療が提供されている状況です。
その中で薬剤師の役割は、患者さんに対しての服薬指導(オピオイド製剤を中心とする)や
医療チームに対して薬物治療上のチェックを行うといったものが主となります。

がん治療においてはその専門性の高さも要求されますが、
同時に高度なコミュニケーション能力が必要となります。
患者さんは「がん」と宣告を受けたときから得体の知れない、想像を絶するような
不安、心配をかかえることになります。

薬剤師として薬を通して関わること以上に、患者さんの気持ちを大切にして、
いかに寄り添っていけるかということはこの緩和ケア、がん治療においてはとても
大切なことになります。
薬剤師としては薬剤が安全に的確に処方され、使用されているかということに
目が向きがちになってしまうのですが、実際は患者さん自身が納得した上で
その薬を使うに至ったのか、そういう部分がとても大切なのです。
こういった患者さんの意向、家族の方の思いを無視しての押し付け型の指導の
薬剤師は患者さんから決して信頼を得ることはできません。
薬剤の効果、効能、利き方についても個人差があるので、患者さんからの声に
常に耳を傾けて情報を得、適切な緩和ケアへと導いてあげる必要があるのです。

説明を行うだけではダメ

服薬指導については、薬物治療についての説明を行うだけではなく、これから
先の治療の流れや帰宅後の注意点などを説明しなければなりません。
治療に関する幅広い知識が求められてくるのです。

がん患者さんというのは、がん告知をされて、これまでに無い動揺を感じている
人ばかりですので、これらの説明を行う際にも人間としてどのようなかかわり方を
すべきかということについて常に考えなければなりません。
ある意味、接遇やカウンセリングの知識や技術もあると、少し患者さんの
心の助けになるかもしれません。

これからの薬剤師というのは、部屋の中で調剤業務をこなすだけにとどまらず、
患者さんとコミュニケーションをとりながら薬の専門家であることが
求められることになるかと思います。
そして、2015年には540万人にも急増するといわれているこのがんという
病気と闘うためにも、薬剤師が積極的に医療チームに関わっていき、
情報提供をしていくことが、日本の緩和ケアへの貢献につながるのだということを
忘れてはならないと思います。
薬剤師の存在感を示すんだという気概もこれからの薬剤師には
必要になってくるのだと感じています。