1. >
  2. >
  3. 薬剤師の倫理観

薬剤師の倫理観

投稿者:

薬剤師の倫理観

倫理とは、「社会の中でいかによく生きるか」という点について問う学問であると思います。
薬剤師は医療分野で働くということになりますので、必然的に人の生命に関わる仕事であるといえます。
最近の医療分野では目まぐるしいほどの科学的な発展を遂げているという現実があります。
また同時に多くの倫理的な問題を抱えるという結果に至っているといってもいいかと思います。
薬というのは人の生命において、治療を助ける役目も果たします。
ですが、同時に副作用という人々の健康、生命にとって害になる要素もあわせもっている
非常に扱いに慎重にならなければならないものです。

また、患者さんと接する機会も多くなった今、薬剤師の仕事は非常に高い倫理観が求められるといってもいいでしょう。
病院で働く薬剤師の方を例にとってみましょう。
がん患者さんへの制がん剤投与の際には、患者さんに十分に副作用についての説明を行い、
納得をしてもらった上での治療というのが必須条件となります。
必ず患者さんとのコミュニケーションの中で同意を得た上での使用が倫理観のある薬剤師としての治療の助けになっていくのです。

ですから、薬剤師としては患者さんに対して薬の情報を提供するとともに、
副作用に対しても絶えず適切な判断が下せるようにします。
そのためにも哲学・倫理的知識を素養として持っておくことがとても大切です。
製薬会社で開発された薬を同じく薬学勉強、研究した人間として批判したりします。
つまり使用についての見解を述べる場合、意思疎通がうまくいくようであって、意外にうまくいかないという現実も多いのです。

製薬会社のなすべきこと

製薬会社としてのなすべきことと、病院で患者さんの治療にじかに携わっている薬剤師としては、
本来は同じであるはずなのですが、見解が異なることだってあるわけです。

そんなときに、やはり大切になってくるのが薬剤師としての倫理観なのです。
臨床薬理試験において、薬剤部長は治験薬の管理をすることから始まります。
治験薬をいつ、どのタイミングで、どの患者さんに、どれだけ投与されたかということを逐一記録します。
副作用が発見された場合には、ただちに、製薬会社へ連絡を行うとともに、
その副作用を改善すべき機能を助けることが病院の薬剤師の使命となってきます。
製薬会社の開発担当者としても、副作用をいかに防ぐかということについて真摯に受け止め、
薬剤の改善にすぐさまに対応し、課題解決することが求められてきます。

現在は医薬分業ということで病院の中で働く薬剤師の方の業務は調剤業務が減る一方で、
病棟業務の仕事に専念ができる環境もできつつあります。
これは病棟で働く薬剤師にとっては患者さんとじかにふれあい、
より治療を効果的、効率的なものにすることに専念できるいい機会であります。
ますます薬剤師の病院での役割のレベルの高さが求められることになることと思います。
そのときに、常に倫理観をもって患者さんに対応できるようにするということは、薬剤師としての必要最低条件だと考えます。
自己研鑽とともに、自分の倫理観についてもしばし振り返る機会を設けることを忘れないでおきましょう。